9年前のこと。多くの子どもたちが好きな授業にあげる「水泳の時間」に関して、特別支援学級では1人につき1名の介助者がいないと、プールを使えず教室での代替授業になることを知り、「特別介助員」に登録しました。ほかに保護者の登録者はなく、複数学年を担当することになった私は、顔も体も真っ黒になりました。「水泳の時間」の最終日、着替えていると、子どもたちからプレゼントを手渡されました。それは、特別支援学級の子どもたちがみんなで作ったありがとうメッセージ≠ナした。帰り道、涙しながら歩いた夏の日のことを今でも思い出します。「たった一人の大人の小さな行動でも、子どもたちの笑顔につながる」と実感したこと。それが私のPTA活動の原点です。
日本PTA全国協議会は、今年、内閣府の認定を受け、公益社団法人となりました。その背景には、PTA活動に対する社会からの期待もあると思っています。
子どもたちを取り巻く環境は決して良好とはいえません。保護者である私たちのすぐそばで、いじめ、体罰、虐待など、さまざまな問題が起きています。また、子どもたちの安全を脅かす事案は年々増すばかりです。特にケー夕イ・スマホ・インターネットなどのサイバー空間の脅威に対しては、使用させる責任者である保護者が、「知らない」、「分らない」ではすまされなくなってきました。
そんな中、「保護者と教職員が手を携え、子どもたちを育む環境である学校や地域をよりよいものにしていく」というPTA活動が果たす役割はますます大きいと感じています。
また、PTAは保護者自身も地域や社会とつながり、成長できる場、社会貢献できる場でもあります。そして、その活動のすべてが子どもたちや地域の未来につながっていきます。
(聞き手 高比良美穂)