被災地の学校現場の教員として、阪神・淡路大震災の直後から実行していたことが3つあります。(1)一人ひとりに声をかけること (2)話し始めたら聞くこと (3)ともに遊ぶことです。
(1)の「声かけ」については、特別なことをしなくても、それだけで子どもがみるみる元気になっていくということを実感しました。ポイントはご飯が好きな子には「昨日何を食べたの?」、漫画が好きな子には「昨日はどのテレビ番組を見た?」などと一人ひとりの興味に沿った質問を投げかけることです。その答えから子どもの変化に気づくこともできます。
(2)の「聞く」の重要性に気付いたのも教室での出来事がきっかけでした。震災後しばらく経ってから、授業中だろうが、何をしていようが、突然話し始める子が出てきたのです。当時は、理論は分かりませんでしたが、反応が出るというだけでもいいことだろうから、とにかく子どもの話に耳を傾けるようにしました。
(3)の「遊ぶ」に関しては、普段通りかどうかを見分けるには「遊び」が一番だからです。子どもたちに変化があった場合、「今日何かあった?」と聞くようにしました。「どうしたの?」という質問の仕方だと、心を閉じてしまうということを経験しました。
阪神・淡路大震災後に子どもたちの「心のケア」ということが盛んに言われるようになりましたが、大切なことは子どもたちに「寄り添う」ことだろうと思います。教職員同士も寄り添うことで元気を取り戻してもらいたいです。