中越地震後は、子どもたちに様々な変化が見られました。多くみられたのは、いわゆる「赤ちゃんがえり」です。担任の先生やお母さんから片時も離れられない。一人でトイレやお風呂に入ることができない。さらには、よく眠れない、ご飯がほとんど食べられないなどの状態がしばらく続く子どももいました。
そういう子どもたちを見ていて分かったことは、地震を体験した恐怖という直接的な要因から来るものは、時間の経過とともに少しずつ回復が見られるけれども、被災後に保護者が精神的・経済的に不安定になってしまうと、なかなか日常に戻れなくなってしまうということです。
ですから、被災後は保護者や教職員などの子どもの周りの大人に対して、臨床心理士や小児科医など、専門的な知識を持っている方のアドバイスや指導をていねいに行う必要がある、と実感しました。
また、自らも被災しながら、学校の子どもたち一人ひとりのケースに対応していかなければならない立場の学校教職員への負担は想像以上に大きなものです。子どもたちの「笑顔」のためには、教職員のサポートは不可欠です。
それぞれのご家庭が日常を取り戻すまでの間に、教職員が精神的に不安定になったり、追いつめられたりしないように、「心のケア」や「学習支援」など、長期間にわたる手厚い人員配置が必要だと思います。
被災地の教職員を支えることは、結果として被災地の子どもたちを支えることに繋がります。私も物心両面での支援を続けていくつもりです。