• レポート
    リストにもどる

  • トップページにもどる
◆専門家インタビュー
  • 「子どもは、未来に向かって生きるもの」
  • 教育評論家・法政大学教授 尾木直樹
写真:尾木直樹さん
尾木直樹(おぎ なおき)
中学校・高等学校教員を経て現在は教育評論家、法政大学教授、早稲田大学客員教授、臨床教育研究所「虹」所長。

 学校の耐震化やいじめの深刻化などが問題になっている中で、学校の「安全」が強く求められています。
 最近のいじめは、携帯電話による「いじめメール」など、方法と質の変化という大きな特徴があります。京都大学大学院と全国高等学校PTA連合会が行った調査では、携帯電話のメール送信数が1日に41回以上の生徒は、5回以下の生徒に比べて男子で1・7倍、女子で1・4倍もいじめの加害者になる割合が高いという結果が出ています。
 問題に積極的に取り組む学校も多くあります。神奈川県のある学校では、「携帯電話の電源を切る」などのルールのほか、「画面の向こうには、心を持った人間がいること」「メールに書いた言葉にも、責任を持つこと」などの情報リテラシーを、PTAと共同で子どもたちに伝えています。このような取り組みが、子どもたちに自らを守る術を与え、「心の安全」を保障することにつながるのです。
 また、子どもたちにとっては、学校は「先生」そのもの。友達関係ももちろん大事ですが、それを安全に確保するのが先生の役割です。何かがずば抜けてすごい先生ではなくても、一人ひとりの気持ちを大事にし、子どもの目線に立てる先生を、子どもたちは求めています。

先生や仲間がくれる「勇気」が大切


 私が教員をしていたころ、よく忘れ物をする子がいました。どうして忘れたのと聞いたら、「先生、今日は手のひらに『習字道具』って書いて、前の日に準備して玄関に置いておいたのに、忘れちゃった」としょげるのです。そのとき、その子を叱る前に、「がんばったね。その努力が大事なんだよ」と褒めてあげると、忘れ物チャンピオンだったその子が、その後忘れ物をしなくなったんです。
 できない子の気持ちをクラスの仲間が共有して、あたたかい眼差しを向けてくれたとき、不思議と、できないことができるようになるんです。仲間を信頼し、勇気が出るからです。
 子どもは、未来に向かって生きるもの。そのために必要な力は「希望」です。大人の役割は、子どもの視点に立って、子どもたちが希望が持てるように導くことだと思います。

このページのトップへ
Copyright(c)2006 子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会