尾木直樹(おぎ なおき) 中学校・高等学校教員を経て現在は教育評論家、法政大学教授、早稲田大学客員教授、臨床教育研究所「虹」所長。 |
学校の耐震化やいじめの深刻化などが問題になっている中で、学校の「安全」が強く求められています。
最近のいじめは、携帯電話による「いじめメール」など、方法と質の変化という大きな特徴があります。京都大学大学院と全国高等学校PTA連合会が行った調査では、携帯電話のメール送信数が1日に41回以上の生徒は、5回以下の生徒に比べて男子で1・7倍、女子で1・4倍もいじめの加害者になる割合が高いという結果が出ています。
問題に積極的に取り組む学校も多くあります。神奈川県のある学校では、「携帯電話の電源を切る」などのルールのほか、「画面の向こうには、心を持った人間がいること」「メールに書いた言葉にも、責任を持つこと」などの情報リテラシーを、PTAと共同で子どもたちに伝えています。このような取り組みが、子どもたちに自らを守る術を与え、「心の安全」を保障することにつながるのです。
また、子どもたちにとっては、学校は「先生」そのもの。友達関係ももちろん大事ですが、それを安全に確保するのが先生の役割です。何かがずば抜けてすごい先生ではなくても、一人ひとりの気持ちを大事にし、子どもの目線に立てる先生を、子どもたちは求めています。
先生や仲間がくれる「勇気」が大切