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  • ◆教育復興特集第2弾
     「防災教育」と「心のケア」は両輪で!

  •  教育現場では今、さまざまな形で「防災教育」のとりくみが進められています。
    しかし、予告なしの避難訓練では、フラッシュバックを引き起こすなどの可能性もあるため、実施には「心のケア」の視点が必要です。
     今号は「防災教育」と両輪で行う「心のケア」の特集です

  • 教職員、保護者のための 「子どもの心Q&A」

    震災後、編集部に多く寄せられた
    「心のケア」についての質問に、
    兵庫教育大学の 冨永良喜教授に
    答えていただきました。
    冨永良喜 先生 冨永良喜
    (とみなが・よしき)

    兵庫教育大学教授。
    阪神・淡路大震災、スマトラ島沖地震など国内外の自然災害の現場で「心のケア」の支援活動を行う。東日本大震災後は、岩手県のスーパーバイザーとして学校や家庭で行えるストレスやトラウマへの対処法を伝える。

  • Q 子どもたちに、作文などで震災当時のことを表現してもらう場合の注意点を教えてください。(被災地の教職員)

  • A

    「二年目を迎えて」「一学期を振り返って」など、折々に表現の場を設け、つらかったことだけでなく、がんばってきたことも含め、各々のペースを大切に、無理強いせずに行うことです。
     また、表現活動では、「事前準備」や「フォロー」も重要です。子どもや保護者にしっかりと予告してから行うこと。そして、知らせる際に、「苦しみや悲しみを心の中に閉じ込め続けることは心の健康によくないこと、つらさをねぎらい分かち合うためのもの」というような表現活動の意義を伝えます。作文であればその後、誰が読むのかを伝えておくことも大切です。表現された作品にメッセージを送り、ねぎらうことで、「表現活動」が「成長」につながり、次世代の命を守る「語り継ぐ防災教育」の貴重な資料にもなります。

    ◆具体例は、日本心理臨床学会・支援活動委員会の
     ホームページをご参照ください。
    http://heart311.web.fc2.com/longtermcare.html
    (下の画像をクリック)

  • Q 阪神・淡路大震災後、しばらくたってから不安定になった子どもも多かったと聞き、今後が心配です。(被災地の保護者)

  • A 阪神・淡路大震災では、震災後5年間、心のケアが必要な子どもは減りませんでした。時間が経つにつれ、地震への恐怖心は薄れる一方で、家庭の経済的な問題が深刻化し、両親の不仲などの問題が子どもに影響したと考えられています。
     子どもは、大人が思っている以上に、「親に心配をかけてはいけない」という思いを強く持っています。保護者のみなさんは、まずそのことを知り、復興過程で起こるさまざまな問題の影響が子どもに向かないよう、自らのストレスも軽減する対処法を持つことも大切です
  • Q 被災地からの転校生には、どう接したらいいでしょうか。
    (被災地外の教職員)

  • A 被災地を離れた子どもは、「あの怖い体験」を分かち合う仲間が身近にいないことで、体験を心に封印してしまうことが多いのです。だから、一見、震災とは関係のないような事柄や、何気ない言葉で心身反応が起き、態度に現れることがあります。例えば、日常会話の中で、「うちのお姉ちゃんは……」という話の輪から、すっと立ち去ってしまったとすれば、その子は、震災でお姉さんを亡くしているかもしれません。まずは、そのことを教員が理解し、受け入れる姿勢が大切です。さらにできれば、周りの子どもたちに伝えておくと、子どもたち同士での気遣いも違ってくることがあります。
     また、普段から子どもに声を掛ける際には、「大丈夫?」と聞くのではなく、より具体的に、「今日はよく眠れた?」「朝ご飯食べた?」などと質問するとコミュニケーションがとりやすくなります。
  • Q 被災地の教職員のストレスを解消してあげたいのですが。
    (被災地の管理職)

  • A 「個人」と「組織」両輪でのストレスマネジメントが必要です。
     個人としては、「がんばるとき」、「楽しむとき」、「つらいことに向き合うとき」を切り分けること。トラウマの克服には、あえてつらいことに向き合う機会も必要です。
     例えば、子どもたちへの表現活動を行う研修として、教員自身が表現活動をする場をつくる。自分自身の被災体験を文章にすることで、自分の気持ちの変化を客観的にみることができます。その上で、授業にのぞめば、子どもたちと気持ちの共有ができるだけでなく、指導への自信にもつながります。
     組織としては、仕事量の軽減や、休暇・休養の体制作りを行うことが大事です。また、日頃から同僚や仲間たちと語り合い、気持ちを分かち合えるような場を確保することです。
  • Q復興支援イベントへのお誘いを多くいただきますが。
    (被災地の管理職)

  • A 与えられた受け身イベントではなく、イラスト子どもたちが主体的に参加・表現できるイベントが望ましいです。被災地の子どもたちの作文を読んでも、自分たちが主人公のイベントは心に残っています。イベントがさらなる心身の負担にならないように配慮しながらも、そうした視点で取捨選択するとよいと思います。
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