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きめ細かな教育の実現に向け
教職員定数改善等をアピール!

 教育現場の様々な課題解決に向けて活動する、「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」は、11月1日、東京都千代田区の星陵会館で全国集会を開催した。


 
定員400人の会場は満員となり、壇上には約50人の衆参両院議員、代理人が駆けつけた。

 第1部の「教育フォーラム」では、NHK Eテレ「バリバラ」のMCとしても活躍するラジオDJの山本シュウ氏が講演。第2部では、松野博一文部科学大臣や樋口尚也文部科学大臣政務官、与野党の衆参両院議員があいさつし、「教職員定数の改善」などを盛り込んだアピール文を採択した。

 山本氏は、自ら考案したPTAキャラクターの「レモンさん」に扮し、客席後方から登場して会場を沸かせた。「みんなの人権が守られている社会に!〜合言葉は『We are シンセキ!』〜」という演題のもと、「30代のある時期、人は自分の思い通りには動かないという当たり前のことに気づき、ものの見方や人との接し方を変えてから人生も変化した」との体験談を交え、「子どもの問題は社会の問題。子どもの問題の解決には、周りのおとなが子どもを一人の人間として尊重し、自らが解決できるようサポートすることが大事」と語った。来場者の多くが教職員であることを知ると、「各地で取材したり講演したりすると、今の学校がどれほどみなさんの頑張りで成り立っているかが分かる。課題は多いが、あきらめないで」とエールを送った。講演後の休憩時間には会場外で、急遽撮影タイムが設けられた。多くの参加者が山本氏に駆け寄り、「勇気をもらった」「明日からまた頑張ります」などと、談笑する姿が見られた。


ラジオDJで「レモンさん」こと、山本シュウ氏
ラジオDJで「レモンさん」こと、山本シュウ氏




























 第2部の冒頭、主催者を代表して、日本PTA全国協議会会長の寺本充氏があいさつ。「教育の中身や社会との関係が変化する中で、しっかりとした学校教育を進めるには教職員の数がまだまだ足りないと、定数改善を要望するとともに、「教育の根幹を支えるべく、教職員や保護者、社会の方々が連携、協働していかなければならない」と述べた。


日本PTA全国協議会会長の寺本充氏
日本PTA全国協議会会長の寺本充氏












 これを受けて松野氏は、「世界的に高い評価を受ける日本の教育は、教職員の長時間労働に支えられているという現状を直視しなければならない」と発言。現在のままでは、「持続可能性ある」状況だとは言えないとの考えを示し、「教職員のみなさんが、子どもたちと向き合う時間をしっかりと確保するため、文部科学省として、基礎定数の改善が計画的に行われるよう、法改正の問題に積極的にとりくんでいく」と語った。


文部科学大臣の松野博一氏
文部科学大臣の松野博一氏








 続けてあいさつに立った樋口氏も、「財政論だけで、教職員定数の議論がなされてしまうのは大変残念なこと」との問題提起をしたうえで、「義務教育はナショナルミニマムであり、すべての子どもたちに等しく教育条件を整備するということは国の責務だ」との思いを表明した。


文部科学大臣政務官の樋口尚也氏
文部科学大臣政務官の樋口尚也氏












 自由民主党の宮川典子衆議院議員は、自身が10年前まで中学・高校の英語教諭だったため、「どれだけ身も心もすり減らして子どもたちの前に立っているのか理解できる」と多忙化する教育現場の実情を訴えた。自らも力を注いできた「チーム学校」の推進により、教員がお互いの能力を磨き、多くの教員の専門的な知識や目で子どもたちを見ていく環境を整えるとともに、「教員一人で何でも抱え込むような教育現場は、これからの日本には必要ない」との思いを述べた。


自由民主党の宮川典子衆議院議員
自由民主党の宮川典子衆議院議員













 公明党の浮島智子衆議院議員は、「財務省はエビデンスばかりを求めてくるが、教育には数字で表せない部分がたくさんあると発言。いじめなど、複雑化する諸問題に対応するためには、「子どもたち一人ひとりと向き合い、小さな変化にどれだけ早く気づけるかが大切だ」との考えを述べた。


公明党の浮島智子衆議院議員
公明党の浮島智子衆議院議員















 民主党の平野博文衆議院議員も、「教職員定数改善については、各党の意見は一致している」と浮島氏の意見に同調。少子高齢化という時代にあって、教育現場にはまだ顕在化していない問題もあるとしたうえで、「子どもが減るから教員も減らすなどという理屈は通じない。多忙な教育現場の実態をしっかりと把握し、国の責務で解決していくことが必要だ」との認識を示した。


民主党の平野博文衆議院議員
民主党の平野博文衆議院議員















 社会民主党の吉川元衆議院議員は、OECD(経済協力開発機構)の実施した国際調査の結果を引用してあいさつ。「生まれ変わったらまた教員になりたいか」との問いに、「なりたい」と回答したのは、OECD平均が約8割だったのに対して、日本は6割に満たないとの現状を紹介。さらに、「自分の子どもを教員にしたいか」との問いにも、大部分の方が「躊躇する」と回答している、教育現場の状況に危機感をあらわにした。


社会民主党の吉川元衆議院議員
社会民主党の吉川元衆議院議員













 最後は、自由党の木戸口英司参議院議員が2016年7月に文部科学省から示された「次世代の学校指導体制実現構想」にふれ、「定数化に向けた中長期の計画に進んでいくようにしっかり議論していきたい」との展望を語った。同氏の地元である岩手県では、依然として1 6千人が仮設住宅で不自由な暮らしをしていると語り、「仮設住宅では家庭学習もままならず、問題の長期化で心のケアも必要だ」と、地域の実情に合わせた教職員の配置の必要性をアピールした。


自由党の木戸口英司参議院議員
自由党の木戸口英司参議院議員













 会の締めくくりには、きめ細かな教育の実現に向けて、新たな教職員定数改善計画の策定することなどを求めたアピール文を全会一致で採択。財政や少子化などを理由とした機械的な教育予算の削減ではなく、時代の変化に合った多面的な議論を行うよう、総理官邸をはじめ、関係各方面に強く要望していくことを確認した。







※肩書きは、2016年11月1日現在のもの
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