続けてあいさつに立った樋口氏も、「財政論だけで、教職員定数の議論がなされてしまうのは大変残念なこと」との問題提起をしたうえで、「義務教育はナショナルミニマムであり、すべての子どもたちに等しく教育条件を整備するということは国の責務だ」との思いを表明した。
- 文部科学大臣政務官の樋口尚也氏
自由民主党の宮川典子衆議院議員は、自身が10年前まで中学・高校の英語教諭だったため、「どれだけ身も心もすり減らして子どもたちの前に立っているのか理解できる」と多忙化する教育現場の実情を訴えた。自らも力を注いできた「チーム学校」の推進により、教員がお互いの能力を磨き、多くの教員の専門的な知識や目で子どもたちを見ていく環境を整えるとともに、「教員一人で何でも抱え込むような教育現場は、これからの日本には必要ない」との思いを述べた。
- 自由民主党の宮川典子衆議院議員
公明党の浮島智子衆議院議員は、「財務省はエビデンスばかりを求めてくるが、教育には数字で表せない部分がたくさんあると発言。いじめなど、複雑化する諸問題に対応するためには、「子どもたち一人ひとりと向き合い、小さな変化にどれだけ早く気づけるかが大切だ」との考えを述べた。
- 公明党の浮島智子衆議院議員
民主党の平野博文衆議院議員も、「教職員定数改善については、各党の意見は一致している」と浮島氏の意見に同調。少子高齢化という時代にあって、教育現場にはまだ顕在化していない問題もあるとしたうえで、「子どもが減るから教員も減らすなどという理屈は通じない。多忙な教育現場の実態をしっかりと把握し、国の責務で解決していくことが必要だ」との認識を示した。
- 民主党の平野博文衆議院議員
社会民主党の吉川元衆議院議員は、OECD(経済協力開発機構)の実施した国際調査の結果を引用してあいさつ。「生まれ変わったらまた教員になりたいか」との問いに、「なりたい」と回答したのは、OECD平均が約8割だったのに対して、日本は6割に満たないとの現状を紹介。さらに、「自分の子どもを教員にしたいか」との問いにも、大部分の方が「躊躇する」と回答している、教育現場の状況に危機感をあらわにした。
- 社会民主党の吉川元衆議院議員
最後は、自由党の木戸口英司参議院議員が2016年7月に文部科学省から示された「次世代の学校指導体制実現構想」にふれ、「定数化に向けた中長期の計画に進んでいくようにしっかり議論していきたい」との展望を語った。同氏の地元である岩手県では、依然として1
6千人が仮設住宅で不自由な暮らしをしていると語り、「仮設住宅では家庭学習もままならず、問題の長期化で心のケアも必要だ」と、地域の実情に合わせた教職員の配置の必要性をアピールした。
- 自由党の木戸口英司参議院議員
会の締めくくりには、きめ細かな教育の実現に向けて、新たな教職員定数改善計画の策定することなどを求めたアピール文を全会一致で採択。財政や少子化などを理由とした機械的な教育予算の削減ではなく、時代の変化に合った多面的な議論を行うよう、総理官邸をはじめ、関係各方面に強く要望していくことを確認した。
※肩書きは、2016年11月1日現在のもの