



2歳の頃、自宅近くの公園で遊ぶ上白石萌歌さん。
上白 石萌歌(かみしらいし もか)
2000年鹿児島県生まれ。12年に俳優デビュー、17年から歌手「adieu」としても活動。主な出演作に、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」、連続テレビ小説「ちむどんどん」、ドラマ「義母と娘のブルース」、映画「366日」など。25年11月7日公開の映画「トリツカレ男」では、東の外国からきた女の子・ペチカ役で声優にも挑戦している。
俳優や歌手として数々のヒット作を生み出している上白石萌歌さん。
この秋に公開の映画『トリツカレ男』では、声優にも挑戦するなど、その活動の幅は広がり続けています。
幼少期に表現の世界へと飛び込んでいった上白石さんの原動力や、仕事に向き合う上で大切にしてきた姿勢、そしてご自身の経験を通して子どもたちへ伝えたいメッセージなどについて語っていただきました。
――幼少期はどのようなお子さんでしたか?
小さい頃は、母親や姉の影に隠れているような、人見知りで恥ずかしがり屋でした。まさか今のような表現の仕事をするとも思っていなかったですね。そんな私が表現に興味を持ったきっかけは、幼稚園の年長の頃にミュージカルを習い始めたこと。表現の中では心を解き放ち、自由になれると気がついたんです。
そして、小学5年生の時に谷川俊太郎さんの詩集にふれて、「言葉」がすごく好きになりました。夏休みの自由研究で詩集を作って提出したり、いろんな詩集や小説などを図書館で借りて読んだりしました。今でも外出時は、必ずカバンに本を1冊忍ばせています。
――今の仕事につながっている、幼少期の体験があれば教えてください。
小学1年生から3年間、父の仕事の都合でメキシコに住んでいました。友人に聞いた話ですが、幼少期の視覚体験が色彩感覚や感性、創造性を育むことに影響するそうです。メキシコの街や家の色はとても鮮やかなので、その時につちかわれた色彩感覚が、演技などで想像力を膨らませることに生きていると感じています。
――俳優、歌手という仕事の魅力を教えてください。
何よりもやりがいを感じるのは、携わった作品が多くの人の心に届いていると実感できた瞬間です。ある時、ライブの後に「あなたの歌に救われました」と手紙をもらったことがあります。自分の表現が、人の心を少しでも救うことができていると実感し、続けてきてよかったと感じました。
また、映画や音楽などのエンタメは、演者が亡くなった後も後世に残り続けます。そんな風に時代を超える作品に自分が携われることが嬉しいです。
――この秋に公開の映画『トリツカレ男』では声優にも挑戦しています。
表現の仕事をしていると、日々多くの方と関わります。人見知りが薄れ、今では交流が楽しく感じられます。この作品中では、私が演じたペチカが、主人公のジュゼッペと心を通わせた時に、まるでジェット風船のように自分の思いをキラキラとした表情でしゃべり出すシーンがあります。私も心を開いた人には、すごい勢いでおしゃべりすることがあるので、共感して演じることができました。
――子どもたちにメッセージをお願いします。
小学生の時に先生から教わった、「好きこそ物の上手なれ」という言葉を今も大切にしています。「好き」という気持ちが、行動する上での一番の原動力になります。スポーツや音楽、芸術など、分野に関わらず、心が動く「好き」という気持ちを大事にしてください。
失敗したらと不安に思う人には、一生懸命とりくむことの大切さを伝えたいです。飛び込んでみないと分からないことはたくさんあります。私も不安になることはありますが、「やらなきゃよかった」と後悔したことはありません。深く考え過ぎず、まずは進んでみて。全力で努力してたどり着いた結果が、当初の思い描いたものでなくても、きっとその人にとっての正解になります。私もまだ夢の途中。目の前のことに一生懸命とりくんでいきます!
上白石萌歌さん出演 せつなく眩しいミュージカルアニメーション
映画『トリツカレ男』 2025年11月7日(金)全国公開!
本作は、『麦ふみクーツェ』などで知られる作家、いしいしんじ氏の小説『トリツカレ男』をミュージカルアニメーションとして映画化した作品です。監督はユーモアに満ちたドラマを得意とする煖エ 渉氏、脚本は劇団「ロロ」主宰の三浦直之氏が務め、アニメーション制作は『クレヨンしんちゃん』の制作も手掛けるシンエイ動画が担当。せつなく眩しいラブストーリーミュージカルが誕生しました。
物語の主人公は、ひとたび何かに夢中になると周りが見えなくなってしまうため、街の人たちから「トリツカレ男」と呼ばれる青年ジュゼッペ(佐野晶哉/Aぇ! group)。歌、三段跳び、探偵ごっこ……彼が次にとりつかれたのは、公園で風船を売る女の子ペチカ(上白石萌歌)でした。
東の国からやってきて、病気の家族のために大きな借金を背負い、笑顔に“灰色のくすみ”を抱えるペチカ。ジュゼッペは、ハツカネズミの親友シエロと共に、ペチカの悲しみを取り除くため、危険を冒してでも懸命に走り回ります。
「映画のタイトルにもあるように、本作は、何かに心を奪われ、それに向かって真っしぐらに走って行くことの素晴らしさを描いています。そして何より、人が誰かを深く思い、行動を起こすことの尊さを教えてくれる作品です」
ペチカの声を演じた上白石萌歌さんは、本作が伝えるメッセージについて、こう語ります。ジュゼッペとペチカの運命の出会いが、誰もが驚く感動を呼び起こします。誰かのため、懸命にまっすぐに走っていく気持ちが、歌と共に空へと舞い上がる――子どもから大人まで、幅広く楽しめるこの作品を、ぜひ劇場でご覧ください。
▼映画「トリツカレ男」公式サイト
https://toritsukareotoko-movie.com/


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