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大きな夢を実現するために最高の自分をイメージする
池江璃花子 さん

4泳法すべてで50メートルを泳いでいた5歳の池江璃花子さん

池江 璃花子(いけえ りかこ)
2000年、東京都生まれ。高校1年で出場したリオ五輪100m バタフライで5位入賞。17年の日本選手権で女子史上初となる5冠、翌年のアジア大会で史上初の6冠を達成。19年に白血病と診断されたが闘病を乗り越えて復帰し、21年の日本選手権水泳競技大会では4種目で優勝、リレー種目で東京五輪に出場。個人・リレー種目合計16個の日本記録を保持する。

2018年のアジア競技大会において日本選手で最多の6冠を達成した競泳の池江璃花子選手。
東京五輪での活躍が期待される中、19年に急性リンパ性白血病の発症をSNSで公表すると社会に大きな衝撃が走りました。
闘病を乗り越え、新たな目標に向かって歩み続ける池江さんに、今後の目標などについて語っていただきました。

――小さい頃から水泳が得意だったそうですね。

 三人きょうだいの末っ子の私は、姉と兄の影響で3歳から水泳を始めました。近所のスイミングスクールに通い、4歳でクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライで25メートルを、5歳になる頃には50メートルを泳いでいたそうです。当時、我が家では何か目標を達成すると「ママと一緒に寝られる」といったごほうびをもらえました。それで一層頑張ったことを覚えています。
 物心がつく前からずっと泳ぎ続けてきたので、自分が特別なことをしているとは一切思っていませんでした。好きなことに打ち込むうちに、ごく自然な流れで選手をめざしました。

――現在も欠かさないイメージトレーニング法があるそうですね。

 まだ幼かった頃、大会に出場する前の晩に、布団の中にいる私に母が翌日の大会の様子を詳しく語って聞かせてくれました。控室で集中力を高めて、名前を呼ばれたらスタート台に立って、練習通りに飛び込み、水をかき、ターンして……、優勝して表彰台に立つまでの具体的な情景をリアルに想像するのです。
 最高の自分の姿を強くイメージすることで、本番でも思い描いた通りの高いパフォーマンスを発揮できました。母に教わったこのイメージトレーニングを、今でも実践しています。

――病気療養のために一時、選手活動を休止されました。どのようにメンタルを維持されたのですか?

 東京五輪を翌年に控えていた19年に白血病と診断を受けました。病院では、何があっても水泳を続けたいという思いで、「負けてたまるか」と自分を奮い立たせました。病気を克服して、さらに強くなった自分の姿を思い浮かべながら入院生活を乗り切りました。
 闘病期間を終えて復帰してからも、一層辛い日々が続きました。必死に頑張っても以前のように速く泳げない、チームメイトに勝てないことが虚しくて悔しくて、毎日、一人車の中で泣きながら帰りました。それでも、諦めずに練習を続けて、1年遅れで開催されたオリンピックのリレー種目で代表権を獲得できました。

――子どもたちに向けて、夢を叶えるためのアドバイスをいただけますか。

 何よりまず、大きな夢を持つこと。その夢を実現するには何が必要でどんな努力をしなければならないかをじっくり考えましょう。そして、細かく設定した小さな目標を着実に達成していけば、大きな目標に近付けるはずです。
 私は、思いがけない理由で突然、競技から離れなければなりませんでした。一歩も歩けないほど苦しい時、健康で生きている、それだけで奇跡なんだと心の底から思いました。
 入院中に病院のベッドで過去の自分のレース映像を見ていて、涙が止まらなくなったことがありました。様子を見に来た看護師さんに泣いている理由を話すと、一緒に映像を見て、「ああ、すごいね!」と褒めてくれたことが本当に嬉しかったです。みなさんも誰かの辛さに寄り添ってあげられる人になってもらいたいです。挫折は誰にでもあります。どんなに辛くても、後悔しないよう全力で夢に向かって突き進んでください。

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