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終わらない苦しみはないよ!いつかきっと笑える時がくる。
上白石萌音 さん

7歳の時、オセロをする上白石萌音さん。

上白石 萌音(かみしらいし もね)
1998年、鹿児島県生まれ。2011年、「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞受賞。俳優、歌手、声優など幅広く活躍中。ドラマ『恋はつづくよどこまでも』、映画『君の名は。』など出演多数。21年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では初代ヒロインを務める。21年9月、初のエッセイ集『いろいろ』(NHK出版)を出版。

ドラマや映画など、数々のヒット作に出演する俳優の上白石萌音さん。歌手やナレーター、声優としても活躍し、2021年9月にはエッセイ集『いろいろ』を出版するなど、多彩な才能を発揮しています。なかなか自分の思いを表現できなかった幼少期のエピソードや、好きなことを続けることの大切さなどを語ってくれました。

――上白石さんはどんなお子さんだったのですか?

 小学生の頃から読書が好きでした。幼少期から両親が絵本の読み聞かせをしてくれて家にはたくさんの本がありました。でも「本を読みなさい」と言われたことは一度もないんですよ。命令されると嫌になる性分なので、両親の作戦勝ちです(笑)。

――お父様は現役でお母様も学校の先生だったそうですね。

 今思うと、恵まれた環境でした。理不尽におこられた記憶がないんです。悪いことをすると反省文を書かされるのです。「なぜ叱られたのか?」「どうしてそうなったのか?」「今後はこうする」と。つい嘘をついてしまった時には、「これまでについた嘘を全部書きなさい」と。そして最後に「もう嘘はつきません」と誓約させられました(笑)。

――小学生の時、不登校気味の時期もあったとか?

 些細なことを気にして押しつぶされそうになることがあって、約1年間、教室に入れない時期がありました。でも、「保健室の先生に会いたい。話したい」という気持ちで、学校に通うことができました。保健室の先生に感謝しています。

――8歳から3年間メキシコで過ごされていますね。

 あの頃の経験がなければ今のお仕事はしていないと思います。バレエの発表会で脚が上がらず、回転もできていない子がいました。日本でなら、恥ずかしそうにはしっこで踊りそうなものですが、その子は「私を見て!」という感じで堂々と真ん中で踊るんです。「技術じゃない、心だ!」と言わんばかりに。「もっと自分を出していいんだ」と気づかせてもらいました。

――俳優やタレントに憧れる子どもは多いです。

 俳優の魅力は、様々な人の気持ちを知ることができる点です。医師にも患者にもなる。いじめっ子にも、いじめられっ子にもなる。セレブにも貧乏な学生にも。一度の人生では経験しきれないことです。誤解を恐れずに言えば、幼い時の「ごっこ遊び」の延長線。当時も幼いなりに、「お母さんってこういう気持ちかな?」と、考えながら遊んでいたと思うんです。他者の気持ちをしっかりと感じると自分も豊かになっていくように感じます。

――子どもたちにメッセージをお願いします。

 私は小学校6年生の時に一度俳優になる夢をあきらめました。「劇団四季に入りたい」と周囲に相談すると、「才能と努力と運が必要な世界よ」と言われて、自信がもてなかったんです。でも、「一生の趣味にしよう」とミュージカル教室に通ったことが今につながっています。好きなことを続けても夢がかなわないこともあるでしょう。でも、好きでたまらないものは、いつかきっとあなたの味方になってくれるはずです。
 新型コロナウイルス感染症の影響で大変な毎日だと思います。でも、大丈夫。終わらない苦しみはありません。どんなに悲しくてもつらくても、笑える時がやってきます。おとなになった時、「世界中に感染症が広がった時代があったんだよ」とその時の子どもたちに語ることをイメージして、「これも経験だ」と前向きに考えてみませんか。

楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと
自分を見つめなおして綴った初のエッセイ集

俳優業だけでなくナレーターや歌手など、精力的に活動する上白石萌音さんが、初のエッセイ集『いろいろ』(NHK出版)を出版。日々の様々な出来事や感情を切り取り、現在の自分、過去の自分と重ね合わせ、感じたことを言葉にしています。多彩にこなす仕事において大切にしてきたのは、自我を消して“その色”に染まること。幼少期から現在までの様々な“色”の積み重ねに今の自分がある、との思いから、これまでの楽しかったことや嬉しかったこと、辛かったことを見つめなおして綴られた“いろいろ”なこと。他に故郷・鹿児島への思いや書き下ろし短篇説も収録しています。

『いろいろ』 (NHK出版 四六判/226頁)
税込1,980円

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