小学4年生の頃、通っていた塾での松坂桃李さん
松坂 桃李(まつざか とおり)
1988年神奈川県生まれ。2009年に俳優デビュー。19年の日本アカデミー賞では『新聞記者』で最優秀主演男優賞を受賞。NHK『今ここにある危機とぼくの好感度について』が4月24日、EX『あのときキスしておけば』が4月30日よりスタート。公開待機作に『いのちの停車場』(5月21日)、『孤狼の血 LEVEL2』(8月20日)、『空白』がある。
俳優デビューから10年、映画「新聞記者」で日本アカデミー賞の主演男優賞を受賞した松坂桃李さん。幼少期の夢は漫画家になることだったそうです。俳優の道に進むきっかけや役を演じるうえで大切にしていること、子どもたちへのメッセージを語ってくれました。
――松坂さんはどんなお子さんだったのですか?
小学校高学年の頃、ミニ四駆に熱中していました。分厚い漫画雑誌や段ボールを重ね、自分のコースを作っては走らせていました。マンガやアニメも好きで、お気に入りのキャラクターをノートに描いて「漫画家になれたらな」と思ったこともありましたが、小学校の卒業アルバムを見返すと、将来なりたい職業には「消防士」と書いていました。乗り物が好きだったので、「消防車に乗りたい」が理由だったんでしょうね。
――俳優の道に進んだきっかけは?
大学時代、友人の薦めで、ファッション誌のオーディションを受けました。最終審査で他の参加者がギターの弾き語りや中国語の歌を披露する中、僕が選んだのはドナルドダックのモノマネ(笑)。絶対に落ちたと思いましたが結果はグランプリで、今の事務所に所属することになりました。その後、戦隊のレッド役が決まり、大学を休学して撮影に臨みました。
演技経験もなく、最初は毎日怒られてばかりでした。でも、周囲を見て必死に勉強するうちにスタッフとコミュニケーションが取れるようになり、自分のアイデアを出せるまでになったんです。1年間に及ぶ撮影が終わった時、「これほど本気で打ち込んだものは初めて」と気付き、俳優の仕事を続けようと決心しました。
――俳優の仕事で大切にしていることは?
映画やドラマという作品は永遠に残ります。俳優の仕事は作品に込められたメッセージを多くの人に伝え、後世に残すことだと思っています。その役目を果たすために、まずは演じる人のことをよく知ることから始めます。演じるというのは、「自分の体」に「違う人格」を入れることですから、しぐさや言葉遣いなど、その人ならではのちょっとしたニュアンスを大切にしたいんです。それが歴史上の人物なら、文献などで調べて、どんな気持ちでその時代を生きたのだろう、と思いをはせてみます。そして、自分の役だけでなく、監督さんをはじめ作品に関わる人たちの思いや世界観の中で役柄を演じることを大事にしています。
――映画『いのちの停車場』では、小児がんの子どもと向き合う役でした。
未来を夢見る子どもがいる一方で、生きたくても生きられない子がいる。「頑張って治そうね」という言葉が、こうした子どもたちには苦痛でしかない。一人ひとりの子どもと向き合う時、正解やテンプレートは存在しないと思いました。
――子どもたちにメッセージをお願いします。
好奇心や興味は何かを始める原動力や継続する力になります。漠然とでもよいので好きなことや興味のあることを思い浮かべて、それを実現するための小さな目標を立ててみてください。僕の場合であれば、映画やドラマに主演するために、まずは主役の息子役をやるぞ、その次は主演の相手役だ、というように進めてきました。
目標が決まれば、必要な情報を集めやすくなります。多くの情報に触れ、選択肢を増やし、自分で判断することが大事です。そうやって一つひとつ目標をクリアしていくうちに、なりたい自分に辿り着けるのだと思います。
松坂桃李さん出演
映画『いのちの停車場』2021年5月21日(金)より公開!
東京の救命救急センターで働いていた、医師・白石咲和子(吉永小百合)は、あ る事件の責任をとって退職し、実家の金沢に帰郷する。これまでひたむきに仕事 に取り組んできた咲和子にとっては人生の分岐点。久々に再会した父(田中泯) と暮らし、触れあいながら「まほろば診療所」で在宅医として再出発をする。
「まほろば」で出会った院長の仙川徹(西田敏行)はいつも陽気な人柄で患者た ちから慕われており、訪問看護師の星野麻世(広瀬すず)は、亡くなった姉の子 を育てながら、自分を救ってくれた仙川の元下で働いている。ふたりは、近隣に 住むたった5名の患者を中心に、患者の生き方を尊重する治療を行っており、こ れまで「命を救う」現場で戦ってきた咲和子は考え方の違いに困惑する。そこへ 東京から咲和子を追いかけてきた医大卒業生の野呂聖二(松坂桃李)も加わり 「まほろば」のメンバーに。野呂は医師になるか悩んでおり、そして麻世もま た、あるトラウマに苦しんでいた。
様々な事情から在宅医療を選択し、治療が困難な患者たちと出会っていく中で、 咲和子は「まほろば」の一員として、その人らしい生き方を、患者やその家族と ともに考えるようになってゆく。野呂や麻世も「まほろば」を通じて自分の夢や 希望を見つけ、歩みはじめた。
生きる力を照らし出す「まほろば」で自分の居場所を見つけた咲和子。その時、 父が病に倒れ・・・。父はどうすることもできない痛みに苦しみ、あることを咲 和子に頼もうとしていた―。
▼映画「いのちの停車場」公式サイト
https://teisha-ba.jp/