小学3年生(8歳)の頃、運動会で仲間を応援する吉岡さん
吉岡里帆(よしおか りほ)
1993年京都府生まれ。2016年、連続テレビ小説「あさが来た」(NHK)出演をきっかけに一躍人気に。17年、ドラマ「きみが心に棲みついた」(TBS)、18年、「健康で文化的な最低限度の生活」(同)に主演。19年には、ヒロインを演じる映画「パラレルワールド・ラブストーリー」が公開予定。
「2017年ブレイク女優ランキング」(ORICON NEWS)で1位に輝いた俳優の吉岡里帆さん。ドラマや映画などで活躍する姿に、子どもたちからのリクエストが集まっています。幼少期の学校の先生とのエピソード、どうすれば夢を見つけ、かなえることができるのか、体験談を通して、その秘訣を語ってくれました。
――吉岡さんはどんなお子さんだったのですか?
自然の豊かな町で育ったので、木登りや鬼ごっこをしたり、ザリガニ釣りをしたりと、おてんば娘でした。
読書も大好きで、地元や学校の図書館によく通いました。特に好きなジャンルは「伝記」で、キュリー夫人やナイチンゲール、野口英世など、歴史上の偉人の物語をたくさん読みました。教室の「図書ボックス」に並んでいた担任の先生お勧めのハリー・ポッターやダレン・シャンもお気に入りでした。
――思い出に残っている学校の先生はいますか?
小学校1、2年生の時の担任の先生の言葉は今でも思い出します。給食当番の日にマスクを忘れてしまい、泣き出した時のことです。
「泣く暇があるなら、友だちに借りるなり、タオルやハンカチを口に当てるなり、対処法を考えなさい」
先生は単に忘れ物をしたことを叱るのではなく、どうすれば給食当番という役割を全うできるか、を考えさせてくれました。いまだに仕事で悩むことがあると、この経験を思い出し、「解決のために何をするか考えよう」と前向きな気持ちになれるんです。
――俳優をめざしたきっかけは?
7歳の頃に書道を始め、大学でも書道部でした。家族や友人、私自身も将来は書道の先生になるのだと思っていたのです。
転機は、映画へのエキストラ出演です。初めて入った撮影スタジオは、まるで江戸時代にタイムスリップしたかと思うような空間で、それぞれのプロがイキイキと仕事をしていました。その時出会った映画監督志望の学生が、自主制作映画のヒロインにどうかと声をかけてくれて。たくさんの人たちが、力を合わせてものづくりをする仕事の楽しさに惹かれていきました。
――俳優として演じる上で大切にしていることは?
「今、自分のしていることは誰かのためになっているか」を常に考えます。両親から耳にタコができるほど言われてきました(笑)。
あるドラマで、区役所職員として、様々な困難を抱える生活保護受給者と向き合うケースワーカー役を演じました。弱者にあまりにも冷たい日本社会を憂いて描いた、と原作者・柏木ハルコ先生がおっしゃったことにとても共感し、自分にも何かできることがあれば、という思いでした。
番組を見た学生から、「福祉現場の人手不足を知った。人のために私もこんな仕事がしたい」と声が寄せられた時、自分の選んだ仕事に間違いはなかったと思いました。若者が興味を持っていないと思われているテーマでも、ドラマを通して伝えられることもある。新たな可能性を感じた瞬間でした。
――自分の夢やしたいことが、なかなか見つからない子どもも多いです。
私の場合は、父の勧めで好きなものをノートいっぱいに書き出していました。好きな色、匂い、言葉、食べ物……。そうしているうちに、自分の好きなものがはっきりしてくるんです。
好きなことなら頑張れるし、少しくらい嫌なことがあっても我慢できる。自分にうそをつかず、自分が好きなことを知ることは、夢につながる第一歩なのだと思います。