藤本 美貴(ふじもと みき)
1985年、北海道滝川市生まれ。2002年ソロ歌手デビュー。2003年からモーニング娘。に在籍。2009年お笑い芸人の庄司智春さんと結婚。現在は中学1年の長男、小学3年の長女、4歳の次女3人の子育て中。テレビ番組「夫が寝たあとに」(テレビ朝日系)や自身のYouTubeチャンネル「ハロー!ミキティ」では、的確でユーモアな主婦目線の発言が大人気。その発言をまとめた「ミキティ語録~前しか見ない」(CCCメディアハウス)も好評発売中。
――どんな子ども時代を過ごされましたか?
小さい頃から納得いかないことがあったら「なんで?」「だってこうじゃん!」と追及する子どもでした。がんばることは比較的に好きで、やると決めたことはやってきた自信はあります。例えば、歌手になりたいというのは保育園の時からの夢でしたが、実現することができました。勉強は苦手だったので小学3年のときに自分で勝手に見切りをつけたのですが、親からも「勉強しなさい」と言われたことは1度もありません。
――ご自身の子ども時代が、今の子育てにも影響しているのでしょうか。
自分のことは棚に上げて、子どもたちには最低限の勉強はしてほしいと思っています。歴史などを知れば会話の幅が広がりますし、知ることでさらに学びたくなるかもしれない。知識を身につけることで、自分の世界や可能性を広げてほしい、と夫とも話しています。家ではゲームやテレビは宿題を済ませてから、とテレビのリモコンはかくしています(笑)。
それでも「やりたくない」と子どもが言う時には、「それならそれでどうぞ」というスタンスです。「あなたが宿題を忘れて学校で先生に叱られても、勉強をしないままおとなになっても、ママは何も困らないからね」と伝えます。
――それでも親は心配で口出ししてしまいがちです。
「親にできるのはここまで」という線引きが必要です。口出ししても小学生の間は何とかなっても思春期にもなると本人の意思がないとどうにもなりません。
私自身も「モーニング娘。」のオーディションは、中学生の時に自分で見つけて応募しました。本当にやりたいものは自分から動くものだし、やらされているうちは身にならないと思うんです。最終的には自分で人生を切り拓いていく、そういう力を身につけてもらいたい。そういう考えから、本人が「やってみたい」と言ったものは、できる限り経験させてあげるようにしています。
――YouTubeチャンネルのお悩み相談が大人気です。
子どもの頃から得意だった人とのコミュニケーションや、距離の取り方などに注目してもらっているのかもしれません。我が子に対しても、私とは別の人生を歩むひとりの人間だと思って接しています。子どもたちには「自分で考えて決めたら?」と言うことが多いです。
例えば娘が学校でお友だちともめ事があった時には、まずは「あなたはどう思うの?」と聞いてみます。その上で、「ママはこう思うけど、最終的には自分でどうするか決めなさい」と伝えます。行動を起こした後にどうなったかは聞きますが、思い通りの結果でなくても、それをジャッジしたり、相手との関係性に口出ししたりはしません。私の友だちではなく子どもの友だち、子どもの学校生活なのですから。
――子育て中の保護者や教職員に一言お願いします。
日本の先生は、世界一忙しいと聞きます。その上に、親も子どももいろいろなタイプがいて、本当に大変だと思います。私は、もともと「人としての教育やしつけは、まず家庭で行いましょう」という考えです。
うちは、3人の子どもの通い先が公立や私立などバラバラなので、「教育方針が違って大変じゃない?」と聞かれますが、人としての教育は我が家が軸。例えば、子どもたちにも「挨拶は大きな声で。聞こえなかったらしていないのと同じ」と伝えています。
「子育てに正解はない」と言われます。我が家の3人の子どもたちもそうですが、同じ環境で育っても、一人ひとり性格や個性が異なります。だから、みなさんの家庭で大切にしたいことを伝えてあげるといいと思います。保護者の意見やアドバイスはあくまでも考え方のひとつ。それをどう捉えて行動に移すのかは、子どもたち次第なのだと思います。