新型コロナウイルスの影響下、
子どもたちと関わるおとなにできること

 新型コロナウイルスの感染拡大により、子どもたちの生活や教育環境も激変しています。そんな中、『子ども応援便り』編集部にも、保護者や教職員から様々な声が寄せられています。

 今、子どもたちのどのような変化に気をつけ、子どもたちのために何ができるのか。編集部では、寄せられた声や相談内容をもとに、子どもたちの心のケアに詳しい各分野の専門家の方々に、お話をうかがってきました。Q&A形式で順次、紹介していきます。

2020年4月16日公開
5月7日更新

Q&A

学校に行かなくなってから、子どもの落ち着きがなくなってきました。夜もあまり眠れていないようです。どのように接したら良いでしょうか。

 人は、危機が迫ると、心拍を早めて立ち向かおうとします。それがイライラや落ち着きのなさ、眠りを妨げてしまっています。「毎日、コロナウイルスのニュースで心配だよね、こんなときは誰でも、心と体が不安定な状態になることがあるんだよ。全力をあげて立ち向かおうとしているんだよ」と話してあげましょう。気持ちを落ち着ける呼吸法や一度身体に力をいれてから、一気に力をぬくリラックス法など、親子でリラックス法を練習するのもいいでしょう。

子どもが急に膝に寝転んでくるなど、振るまいが幼くなったように感じます。問題はありませんか?

 子どもは、辛かったり、危機が迫ったりすると、年齢より幼くふるまったり、今までできていたことができなくなることがあります。これは「退行(幼児返り)」と呼ばれる現象で、小さな子どもだけでなく、小学生や中学生でも起こります。

 言葉で「怖いよ」、「不安だよ」などと表現するだけでなく、行動で表したり、「背中が痛い」「肩が痛い」「熱が出る」などの身体症状が出たりすることもあります。子どもたちからのそうした声は、安心したいというサインです。そんな時は、「お母さん(お父さん)と一緒だと安心だよね」「ひとりになるのがいやだよね、トイレについていってあげるから大丈夫だよ」と安心させてあげたり、「なんかちょっと元気ないわねえ」「疲れちゃった?」「ちょっと寂しいのかな?」などと声をかけたりしてみてください。

 大事なのは、子どもたちの行動や言動を認め、「あなたの変化や感情に気がついているよ」というメッセージを言葉や態度で伝えてあげることです。

子どもが「コロナにかかると死んじゃうの?」と不安がっています。また、毎日、感染者数増加や医療従事者などの家族が差別されたなどのニュースを見て、私自身も不安です。子どもに新型コロナウイルスについてどのように伝えればよいでしょうか。

 (1)コロナウイルスについて知る、(2)効果的なコロナウイルスへの対処法について知る、(3)免疫力・抵抗力を高める日常生活の過ごし方を知り、実践することがポイントです。専門家や専門機関がまとめた信頼のおける資料などを子どもと一緒に見ながら話してみるといいでしょう。

 例えば、「石けんで手洗いするとウイルスが壊れるんだよ」と話してあげて、ウイルスが体に入ってこない方法があることを教えてあげるとよいでしょう。また、「ウイルスが入ってきても、身体にはウイルスと戦う戦士ががんばるんだよ。それを抵抗力(免疫力)といって、睡眠、栄養、運動、規則正しい生活が抵抗力(免疫力)を高めるんだよ」と話し、「早寝・早起き」や「食事」がウイルスに立ち向かう体と心を作っていくことを知ってもらうのも大切です。

【参考】

仕事をどうしても休めないので、子どもを家において出かけざるをえず不安です。親の留守中、子どもだけで過ごしてもらうポイントはありますか?

 一人で留守番をするのは、子どもにとっても不安なことです。保護者の不安は、子どもにも伝わりますから、まずは保護者自身が安全・安心でいられるように、という視点を持つことが大切です。

 子どもと一緒に留守番中の一日のスケジュールを立てて、その日にすることを決めておくといいでしょう。「お父さん(お母さん)が出かけたら朝ごはんで使ったお皿洗いをする」など、ルーティンを決めておくと、留守番のモードに入りやすくなるかもしれません。体を動かすことや家庭での役割も入れるといいでしょう。子ども自身が考えることが大事です。

 留守番中に来客や配達、電話などがあった時、どのように対応をするかを予め決めておくことも必要です。「来客や電話にはすべて出ない」「インターフォンは知っている人の時だけ対応する」など、無理なくできて、保護者も子どもも安心できる方法を子どもと相談しながら決めてみてください。

 いざという時の連絡の取り方も決め、練習しておくといいでしょう。「毎日●時にお母さん(お父さん)に電話する」とルーティンに組み込んでおくなどもいいかもしれません。

 保護者が留守の間、子どもはとても頑張っています。子どもが好きなお菓子などをおやつに用意しておいて、留守番の楽しみをつくってあげることもポイントです。そして、帰宅したら、「ひとりで留守番できて偉かったね」「家のことをやってくれて助かったよ。ありがとう」などと子どもの頑張りを認めて感謝し、その日の子どもの話を聞いてあげてください。

学校に行かないので生活リズムが乱れてきてしまいました。どうすれば良いでしょうか。

 日課や習慣的な作業がなくなると、体内時計が乱れ、不眠や食欲低下などの心身の症状が出てきます。起床時刻・就寝時刻を決めるなど、できるだけ普段どおりの生活リズムを維持するために、子どもと一緒に一日のスケジュール表を作ってみてください。その際は、まずは子どもが考えている一日のスケジュールを書いてもらうといいでしょう。

 小学生高学年くらいからは、1日の過ごし方をイメージトレーニングするのも効果的です。「一日、一週間をこんな風に過ごしたいというイメージはあるかな?」、「もっとも勉強に集中している自分を映画館のスクリーンのようなものに思い浮かべてごらん」、「集中している自分を10としたら、この1週間の自分は何点くらいだった? 点をあげるために、変えたいことを3つリストアップしてごらん」などと問いかけてみてください。「10時には寝て、朝6時半に起きる」「ゲームはタイマーをセットして1時間でやめる」など、子ども自身からリズムを整えるアイデアが出てくると思います。

子どもに外で遊びたいと言われました。外遊びはさせてよいですか?

 運動機会の確保のためにも、日常的な運動(ジョギング、散歩、縄跳びなど)は推奨されています。外遊びは、「3密」※のうち、密閉はクリアしていますので、密集、密接にならないような遊びならいいよとアドバイスしてあげてもいいでしょう。感染対策に必要な距離(=ソーシャル・ディスタンス)は、2m以上と言われていましたが、最近の情報では、最大4m離れた空気中にウイルスが飛散するとする研究も出ています。

 また、外遊びをした後は石けんで手を洗うようにしましょう。小さな子どもの場合は、動画を見たり、歌を歌ったりしながら手洗いするとよいでしょう。事前に子どもと一緒に練習してみてください。

※新型コロナウイルス感染症の影響を考えたときに避けるべき場所。@換気が悪い、密閉されている、A人が密集している、B近距離で、会話や発声が行われる。

監修者

冨永良喜(とみなが・よしき)

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授。兵庫教育大学教授を経て、現職。博士(心理学)。元日本ストレスマネジメント学会理事長。専門は災害臨床心理学。阪神・淡路大震災、四川大地震、東日本大震災などで被災地の心のサポートに入った経験から、学校において、心の健康授業の普及をめざす。

副島賢和(そえじま・まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学病院内学級担当。25年間公立小学校教員として勤務。2006年、昭和大学病院内「さいかち学級」(品川区立清水台小学校 病弱・身体虚弱児特別支援学級)担任となる。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタル・クラウンとしても活動。ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ/2009年)のモチーフ。「プロフェッショナル仕事の流儀」出演(NHK/2011年)。2014年より現職。

YouTubeにて、「お家にいる子どもたちとのかかわり」についての連載動画が公開中!
「風のたより〜病弱教育の視点がコロナによるこの状況のお役に立てるかも〜」(NPO法人 Your School)


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