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■子どもたちは、親や教師の「いう通り」にはなりません。
  •  「する通り」になります。
  • ノートルダム清心学園理事長
    渡辺和子さん
写真:渡辺和子さん
渡辺和子
1927年北海道生まれ。ノートルダム清心学園理事長。56年ノートルダム修道女会入会後、アメリカへ派遣されボストン・カレッジ大学院で博士号取得。63年に36歳という異例の若さでノートルダム清心女子大学学長に就任し、90年まで務める。教育現場のみならず、マザー・テレサ来日の際には通訳を務めるなど、多方面で活躍。著書『置かれた場所で咲きなさい』はベストセラーとなり、多くの人の共感を呼んでいる。   著書「置かれた場所で咲きなさい」

――著書の
   「置かれた場所で咲きなさい」が話題です。


 本のタイトルは、私自身がいただいた言葉なのです。私が学長に就任したのは30代のことでした。異例の若さに加えて、岡山県の出身でも大学の出身でもない私に対しての周囲の風当たりはかなり強いものでした。不平不満を口にする私にある神父様が一つの詩をくださったのです。
「神様がお植えになったところで咲きなさい。咲くということは仕方がないとあきらめるのではなく、笑顔で生き、周囲の人々も幸せにすることなのです」
「置かれたところこそが、今のあなたの居場所」と告げられたと感じた私には、岡山という土地で学長として咲く決心がつきました。

――学生さんたちにもこの言葉を
   入学式で贈られるそうですね。


 新入生の中には、「ほんとうは別の大学に行きたかったのに」と、不本意で入学してくる者もいますから。「ここで咲いてごらんなさい。私たちがそのお手伝いをしますからね」と。
 「咲く」のは本人ですが、草花が育つのにお日様が必要なように、周りの環境もとても大事です。子どもた
ちは、「認めてくれる」「かまってくれる」「褒めてくれる」ことをとても喜び、そうすることで伸びます。
 ただし、私はおだてたり、お世辞で褒めたりはしません。できていないことに対しては、厳しく注意します。言葉遣いやお辞儀の仕方など、間違っていたらその場でやり直させます。社会に出てから困るのは、その子なのですから。
 

――学力だけではなく、いわゆる「生きる力」を育む教育ですね。

 私は、日常生活において「面倒だからする」ということを大事にしています。例えば、玄関で履物を脱いで、揃えるか揃えないか。揃えるのは面倒ですよね? だからこそするのです。面倒だと思った時に、一呼吸置いて「どちらがよいか」を選ぶ。これが「より善く生きる力」につながります。単に「生きる力」であれば、オレオレ詐欺をはたらく若者だって「生きる力」があると言えますよ(笑)。大事なのは、使い方です。「善く生きる力」とは、人としてすべきことを行い、すべきでないことはしない力をいうのです。

――保護者や学校の先生へのメッセージをお願いします。

 先生方には、「尊敬される存在」であってもらいたいと思います。
 最近では、子どもたちとの関係が友だちのようになってきているように感じます。子どもたちが次の環境、新しい境遇の中でしっかり生きていけるように、叱るべき時は叱ることが肝心です。子どもたちは、それが先生自身の沽券にかかわることで叱っているのか、自分のことを思ってのことなのかは見透かします。本気でその子のことを大切に考えての言動であれば必ず心に響くはずです。
 保護者の方には、「今」子どもを喜ばせることばかりに目を向けるのではなく、「将来」の幸せにつながるような価値観を伝えることを大事にしていただきたいですね。子どもに価値観を伝えるのに言葉はいりません。ご自身が誠実に努力して生きる姿を見せるだけでいいのです。例えば、子どもたちに「テレビを見てないで、勉強しなさい!」と言う保護者自らが、つまらないテレビを見ていたら、
子どもはついてきません。子どもは、親や教師の「いう通り」ではなく、「する通り」になっていくものです。
 私も、「シスターは、私たちにおっしゃることを実践されているのですか?」と、学生に質問されることがあります。そんな時は、「努力していますよ」と答えます。一生の間の努力かもしれませんが、続けていくつもりです。

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